山口誓子「激浪」
角川書店「増補 現代俳句大系」第5巻(昭和56年・刊)より、9番目の句集、山口誓子「激浪」を読みおえる。
この句集は、昭和19年11月に青磁社で活字に組まれたが、世に出なかった。その貴重な1冊を某氏が所蔵し、ここに収められた。
昭和21年7月、削除・追加等を加えて、青磁社から実際に刊行された。
この巻の句集では、川田順の序歌4首、1,254句、編集後記、等を収める。
前回の9月26日、中村汀女「汀女句集」より、ずいぶん月日が経ったが、この句集がこの第5巻の難関だったからである。多くの戦争俳句を含み、後記でも激越である。しかも「誓子俳句のピーク」(平畑静塔)などと、のちに高く評価されている。
書く事は、恐ろしい事である。
以下に5句を引く。
牡丹見るこの驕奢のみ許さしめ
崖攀ぢて蟹いつまでも砂こぼす
蜥蜴出て走りぬ曝書たけなはに
蟷螂に既にあらしの先迫る
海の筋いづれも秋の祭の灯
本文とは無関係。
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