石原吉郎「水準原点」
花神社「石原吉郎全詩集」(1976年・刊)より、4番めの「水準原点」を読みおえる。
原著は、1972年、サンリオ出版・刊。
石原吉郎は、シベリア抑留を体験する事に由って、詩人となった。
戦時日本の、シベリア抑留の、戦後日本の、倫理を問い続けて、人間的であった。
彼のその後の詩と、彼の散文を読んでいない(彼の全3巻の全集に含まれる)ので、その心の経緯を僕は語れない。
以下に、彼の短めの詩を1編、丸ごと紹介する。
右側の葬列石原吉郎
その右側の葬列のためひたすらに その
ひだりがある
ひだりへ流れる
布の蒼白がある
蒼白のための
わずかな紅(くれない)がある
紅を点ずる
さいごの仕草がある
仕草をおさえる
おしころした手がある
その手ではじまる
葬列の右側がある
本文とは無関係。
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