石原吉郎・未刊詩篇
花神社「石原吉郎全詩集」(1976年・刊)より、「未刊詩篇」を読みおえる。
「Ⅰ 文章倶楽部・ロシナンテから(8編)」と「Ⅱ シベリヤ詩篇から(4編)」の2つに分かれる。
「文章倶楽部」は投稿文芸誌だったらしく、「ロシナンテ」は1955年創刊の同人詩誌である。初出が彼の第1詩集「サンチョ・パンサの帰郷」の詩と重なる作品があるが、篩い分けの基準は僕にはわからない。
「古い近衛兵」の末4行を引く。
古い近衛兵(前略)
われらはたえまなく
雨によごれたひげをひねり
はみだした勇気をおしこんでは
不発の衝動をひきよせる
「シベリヤ詩篇」は、抑留時代に創って記憶していた作品を、書き残したものである。文語調の詩である。
「裸火」全5行を引く。
裸火( 一九五二年 ハバロフスク)
われやはらかき
手のひらもて
風に裸火をふせがん
またたける
いのちを掩はん
生前の全詩集だったので、このあと2詩集がある。「足利」は所有しており、最後の詩集「満月をしも」は取寄せ中である。
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