羽矢通子「青草の原」
埼玉県・在住の歌人・羽矢通子さんの第2歌集「青草の原」を読みおえる。
2007年、短歌新聞社・刊。
彼女は「未来」会員、「葱」同人。
第1歌集「羊の家」よりの、7年余りの作品を収める。
戦争の経験があり、キリスト教に近く(歌集名は聖書より採られた)、反権力的な立場にいる。
彼女が短歌の他にも、幾つか関わる事は、女性が解放される事の、困難さを示している。
以下に7首を引く。
砥ぎ草の硬き木賊はすっぱりと伐られて山を出るときを待つ
病み重く君はメールを送りつぐ最期の手紙に「つよく死にたい」
ダイアナ妃を悼む花束鉄柵に溢れて蜂の羽音うるさし
毛繕いに余念なき猫かたわらにわが頸筋のしんしん痛む
歩み入る疎林の木陰足裏に関東ロームかすかに湿る
深海に目の光るとうメヒカリの胡麻ほどの目の硬い歯ざわり
冬の夜の道路計画説明に難民のごと集められたり
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