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2013年7月23日 (火)

大野林火「冬雁」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第7巻(1981年・刊)より、2番めの句集、大野林火(おおの・りんか、1904~1982)「冬雁(ふゆかり)」を読みおえる。

 同「大系」としては、先の7月19日の記事(←リンクしてある)、加藤楸邨「火の記憶」に継ぐ句集である。

 また同「大系」所収の大野林火の句集としては、昨年12月23日の記事(←リンクしてある)で紹介した、第3句集「早桃」に継ぐものである。

 「冬雁」は、原著・1948年、七洋社・刊。298句、短い後記を収める。

 敗戦後の生活と思想の苦しみの中で、文学創作は苛酷な事であったろう。ただし林火の42歳~43歳の句で、第4句集でもあり、俳句の伝統に恃む所もあったであろう。

 以下に5句を引く。

冬木よぎるときつぶやきとなりにけり

瓦礫に月虐げられしものばかり

虎落笛ひとふしはわが肺鳴れり

渦を解き春水としてゆたかなる

夕焼空針で突くごと星ともる



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