鈴江幸太郎「花筵」
初音書房「鈴江幸太郎全歌集」(1981年・刊)より、12番めの歌集、「花筵(はなむしろ)」を読みおえる。
原著は、1975年、初音書房・刊。515首、後記を収める。
75歳の高齢ながら、後記では「そしてなほこれからが大切な時だと思つてゐる」と元気である。
鈴江幸太郎(すずえ・こうたろう、1900~1981)は、徳島県生まれ。1921年(大正10年)「アララギ」入会。中村憲吉に師事。
1953年、歌誌「林泉」創刊・主宰のあとも、「アララギ」の歌会に参加し、出詠もしていたようだ。
この歌集でも、旅行詠が多い中で、生活詠も混じる。
以下に6首を引く。僕の好みで、生活詠が多い。
妻子措きてある日寂しみこの島に渡りし若きこころ忘れつ
古き代に吉津(よしづ)と呼びて住みつきぬ草に返りゆく峠ひと谷
あるかなきかにそがひに眠りゐる妻を月の光は照らし出しぬ
次ぎつぎて老をさいなむ事や者愛(かな)しきものはましてさいなむ
夜明くれば行きて働くあはれさも五十幾年になりやしぬらむ
光秀の夜半をひそかに落ちゆきし跡ちかく住むとおもふ折ふし
ダウンロード・フォト集より、ひまわり畑の1枚。いかにも暑そうだ。
この夏の暑さも、ピークを越えたか。
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