清水泰子「野あざみ」
清水泰子(しみず・やすこ、ペンネーム)さんの第2歌集、「野あざみ」を読みおえる。
2006年、本阿弥書店・刊。319首。
彼女は出版当時、「未来」会員、「黒豹」同人、日本歌人クラブ会員。
岡井隆の選を受けて、芸術性を追うようだ。
ただし僕は、生活の1歩1歩を、歌に刻み付けたほうが、良いような気がする。
短歌の性質に合っており、創る者の心性への好影響も大きいと考える。
以下に7首を引く。
生きてゐる魚を絶たむとはかなくもわが腕にいまみなぎる力
ひつさげて歩くに重き思ひ出がスーパーの袋にのしかかりくる
娘(こ)の婚の日が決まりたり乳色の雲は流れてカフェにひとり
白木綿(しらゆふ)しろき菊の香りに囲まれて夫のかんばせ和しつつ澄めり
一族の盆の集まり鮎食ひてたあれも言はず亡き父のこと
若き日は恐いもの知らずでありにしをもみぢに耳を焦がしゆくなり
泡盛にレモンをしぼり乾杯す今日から春とかたみに言ひて
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