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2013年10月10日 (木)

十鳥敏夫「游方」

Cimg7272 十鳥敏夫(じゅうとり・としお)さんの、「青宇」に続く第5歌集「游方(いふはう)」を読みおえる。

 2009年、本阿弥書店・刊。462首。

 著者は、前登志夫に師事。「ヤママユ」同人、詩誌「湖」同人。

 前登志夫の師系の前川佐美雄(「日本歌人」創刊)の系の歌人(塚本邦雄、山中智恵子、等)は、僕はなじみにくい。

 十鳥さんの場合、己の愚を押し出している所があるが、僕は僕の出来得る限り、理性的でありたいと願っている。

 戦後教育の恩恵を受けたと考える者の、1立場である。

 以下に7首を引く。

竹林の奥より颯々あゆみくる死にてだんだんに大きくなる人

元日のひさしに降りる雀どち降りそこねし一羽たたらを踏めり

戦争をからだの芯から知る人も老いさらばへてさくら咲きいづ

朝夕をファミリー単位に並びたりつばめは電線が何よりも好き

苦も楽もきれいさつぱりほとけへと近づくいのちつぶさに目守(まも)

朝星、夜星はたらきづめの母者びとこんなわづかな骨になりたまふ

ひと日づつ身にし溜まれるつみとがはごみの袋に容れて出すべし

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