小池光「滴滴集」
砂子屋書房の現代短歌文庫(65)「続々 小池光歌集」(2008年・刊)より、第6歌集「滴滴集」を読みおえる。
1昨日(12月28日)の記事で紹介した、第7歌集「時のめぐりに」と前後逆に収められている。
原著は、2004年、短歌研究社・刊。
彼は私生活をあまり詠まないから、読書や新しい見聞に取材して、作歌しているようだ。
この本の末尾には、解説はなくて、自身のエッセイが10余編載っていて、自伝的断片や、ユーモア溢れるエピソードを読む事ができる。
3冊の現代短歌文庫で、彼の6冊の歌集を読みおえて、さらに彼の歌集を読むかどうかは、今はわからない。
以下に5首を引く。
手の先がすでに睡りに没せりとわがみづからにゆるし乞ふあはれ
千鳥ヶ淵の上空にきてゆるらかに向(む)きをかへつつある飛行船
エクセルに長ずる者が支配者のごとくふるまふ職場の憂(う)しも
教室に入らずこのまままつすぐに廊下を過ぎてゆけるものならば
三重の否定は肯定的否定「つまらなくない此の世とてない」
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