小池光「日々の思い出」
砂子屋書房の現代短歌文庫「続 小池光歌集」(2010年・再版)より、第3歌集「日々の思い出」全編を読みおえる。
原著は、1988年、雁書館・刊。
ここで、彼のおもな受賞歴を挙げておこう。
1978年、第1歌集「バルサの翼」で、第23回「現代歌人協会賞」。1995年、第4歌集「草の庭」で、第1回「寺山修司短歌賞」。2000年、第5歌集「静物」で、「芸術選奨・文部科学大臣新人賞」。2004年、第40回「短歌研究賞」。同年、第6歌集「滴滴集」で、第16回「斎藤茂吉短歌文学賞」。同年、第7歌集「時のめぐりに」で、第39回「迢空賞」。2011年、第8歌集「山鳩集」で、第3回「小野市詩歌文学賞」。2013年、紫綬褒章。(ウィキペディア等に拠る)。
同シリーズ3冊の、写真の表情が陰鬱そうで気になる。教師という仕事、上京者の生活は、ストレス多いものだろうか。「沈鬱な顔」「こゑの陰にこもりて」とも自ら詠んでいる。
この本より、1ページ1段、1首1行となり、行間はともかく、読みやすい。歌集としても、逆年順編集を捨てたようである。
以下に5首を引く。詞書は省かせてもらった。
暑のなごりほのかに曳ける石のうへ秋のかなへびは戦(そよ)ぐがにゐる
わが少女、神を讃へてややもすれば常軌を外(そ)れてゆく気配あり
よれよれにただとんがつてゆくわれに麦茶を運ぶ人の近づく
淋しくて食ひはじめたる落花生とどまりあへぬくるしみ来たる
喉のおくならぬこころの奥底のいがいがなれば葛湯が効(き)かむ
コメント