石田波郷「惜命」
角川書店「増補 現代俳句大系」の第8巻(1981年・刊)に進み、初めの句集、石田波郷「惜命」を読みおえる。
「大系」でいえば、昨年12月29日の記事(←リンクしてある)、石原舟月「山鵲」(やまかち)に続く句集である。
原著は、1950年、作品社・刊。506句。
石田波郷(1913年~1969年)の、1947年~1950年の、結核病療養吟である。
何度かの手術を受けているが、僕は戦後日本に入って来た抗生物質薬が用いられたのではないか、と思っている。膿胸、腸結核、中耳結核を併発した患者が、手術だけでは無菌者に復しないだろう。
以下に5句を引く。
咳き臥すや女の膝の聳えをり
横光忌黙契いよゝ頑に
綿虫やそこは屍の出でゆく門
力なく降る雪なればなぐさまず
濃く淡く夜霧うごけり死を脱す
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