北原白秋「思ひ出」
岩波文庫「北原白秋詩集(上)」(安藤元雄・編、2007年・刊)より、「思ひ出」を読みおえる。
今月4日の記事(←リンクしてある)に書いた、「邪宗門」に継ぐ詩集である。
第1詩集「邪宗門」は顧みられなかったが、「思ひ出」は上田敏の激賞を受け、また版を重ねた。
しかし僕は、「邪宗門」」から「思ひ出」の移行は、後退ではなかったかと思っている。
異国情緒から日本情緒へ、青年の覇気から幼年追憶へ。
その長い自序「わが生ひたち」の末尾近く、「畢竟私はこの『思ひ出』に依て、故郷と幼年時代とに潔く訣別しやうと思ふ。」と自ら書いて、前進の意を表している。
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