« 春の花たち | メイン | 広部英一「『木の舟』以前」 »

2014年4月 9日 (水)

山中律雄「変遷」

Cimg7607 「運河」所属の歌人、山中律雄(やまなか・りつゆう)さんの第3歌集、「変遷」を読みおえる。

 2009年、角川書店・刊。

 彼は秋田県の山村の、寺院住職をしている。

 貧しい村の風物と村人に、「思いの深さ」にこころを傾けて歌を詠んでいきたいと願う、と「あとがき」に書くけれども、信仰に頼らざるを得ない心身の貧しさを、本当に理解しているのだろうか。

 もっとも僕は、俵万智「サラダ記念日」によって短歌への目を開いた者のひとりで、ライトヴァースをいまだに駄目だと思えなく、軽みを肯定している。

 以下に6首を引く。

アイロンのあたたまるまで待つ妻の待つこと多きひと世とおもふ

台風に田畑のものも乏しきに村はこぞりて寺をやしなふ

朝はやき厨にたちて火のほとり水のほとりにはたらく妻は

重なれる歳月を経て父と母われと妻子らいづちに行かん

きぞの雨けふの疾風に萌え出でて峡の木立のけぶるごと見ゆ

ただ耐ふるのみに生ききて山あひのをみならはかく美しく老ゆ

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/32192985

山中律雄「変遷」を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート