飯田蛇笏「雪峽」
角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、14番めの句集、飯田蛇笏「雪峽(せっきょう)」を読みおえる。
1951年、創元社・刊。1947年~1951年の539句を収める。
飯田蛇笏(いいだ・だこつ、1885年~1962年、「雲母」主宰)の第7句集にあたる。
敗戦前に父母・次男を亡くし、1947年に長男の戦死の公報、1948年に3男の戦病死の公報を受けたが、彼は句上で乱れを見せなかったものの、ぽつりと「雁仰ぐなみだごころをたれかしる」の句を洩らした。
地味な句の滋味もわかるように思うけれども、もう少し現代性がほしいと、門外漢の僕は思う。
以下に5句を引く。
なまなまと白紙の遺髪秋の風
はたをりのとぶとみるよりなほあがる
街凍ててこころおごらず靴の音
老顔の倦むをしらざるひなたぼこ
森鬱とゆくてにちかむ炎暑かな
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