「渡辺白泉全句集」より(4)
沖積舎「渡辺白泉全句集」(2005年・刊)より、4回めの紹介をする。
今月26日の記事に、同(3)がある。
今回の紹介は、1957年4月・刊行の「筑摩書房版 現代日本文学全集・91 現代俳句集」に収載された「渡辺白泉集」よりである。
この集の貴重な点は、執筆禁止下にあった彼が、戦前・戦中にひそかに書き溜めた句を、読める事である。
以下に5句を引く。
戦前
きみとゆけば真間の継橋ふつと照る
能面のひと集まりて吾子を焼く
戦中
若き頬ならべ水葬礼を吹く
(終戦)
新しき猿股ほしや百日紅
戦後
母の名をいくつも書きて七夕す
(注 漢字の旧字を、新字にした所があります)。
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