関谷啓子「梨色の日々」
2011年、六花書林・刊。355首。
関谷啓子(せきや・けいこ、1951年・生)さんは、「短歌人」「開放区」同人。
既に5冊の歌集を上梓していて、短歌結社に20年いながら1冊の歌集も出せない僕とは、違うのだ。
彼女は主婦の穏やかな生活ながら、時に強く、時に鋭く、詠い出す。
以下に6首を引く。
桃の木に思春期というものありやなし空にするどく枝差し入れて
あらあらと風吹く街に火のごとく流れてゆけり桃の花片(かへん)は
ふつふつと愚痴吐きている黒しじみ一息に鍋に入れてことなし
夫の病に張りつめ暮らす秋の日は何のはずみにか涙出でつも
夕空にながれる雲を追いながらどこに行くのかわれと自転車
むすめ嫁ぐ日の近づきて夜な夜なを語れりかたることの尽きざり
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