殿村菟絲子「絵硝子」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、2番めの句集、殿村菟絲子(とのむら・としこ)「絵硝子」を読みおえる。
今月8日の記事(←リンクしてある)、細見綾子「冬薔薇」に継ぐ。
原著は、1952年、竹頭社・刊。1949年~1952年の266句「絵硝子」を初めに、1938年~1945年の83句「素描」を後に、置いている。
水原秋桜子の序文、石田波郷の跋、あとがきと共に収める。
戦前の句をも収めようと執する心がわからない。
それに、感情を直接に表わすような言葉が混じる事に、違和を覚える。付箋を貼った前半でも、「清しさ」「かなしき(2回)」「おろかに」「あはれなり」「寂しさ」がある。短い詩型なので、そういう事は避けたほうが良くないか。
以下に5句を引く。
初蝶にすげなき音ぞ枯木折る
萩が咲き炭買はむなど心急く
猫に言ひ風邪寝の母に告げて出づ
荒廃や夏蝶の群たゞならず
おのがじし雪沓そろへ人住めり
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