斎藤史「秋天瑠璃」
大和書房「斎藤史全歌集」(1998年・5刷)より、第10歌集「秋天瑠璃」を読みおえる。
1月18日の記事(←リンクしてある)、第9歌集「渉りかゆかむ」に継ぐ。
原著は、1993年、不識書院・刊。505首。
この全歌集の仕舞いの歌集である。
斎藤史(1909年~2002年)にはこの後の歌集に、「風翩翻」(2000年、不識書院・刊)、「風翩翻以後」(2003年、短歌新聞社・刊)がある。僕は両冊を読んでいるけれど、このブログには記事がなく、2007年4月以前の読書と思われる。
歌集「秋天瑠璃」より、7首を引く。
短歌とふ微量の毒の匂ひ持ちこまごまと咲く野の女郎花
家族とふ枷なくなりし身の今日の終りにて睡くなるまで寝(い)ねず
老獪の顔となりたる猫に遭ふ幼くて日々膝に乗りしに
ヴィールスはしづかに栄え電流のごとき痛みに我をいたぶる
青く透くヒマラヤの芥子夢に来てあとの三日をこころ染めたり
矮鶏(ちやぼ)抱けば猫よりかろく淡泊にて鳥はさびしき生きものらしき
われのベッドに坐りたくてならぬ雌鶏の してやつたり今日卵産みたり
注:1部、旧漢字を新漢字に替えた所があります。
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