茨木のり子「倚りかからず」
茨木のり子(1926年~2006年)の生前最後の詩集、「倚りかからず」を読みおえる。
筑摩書房、2006年12刷。帯。83ページ。
この詩集は、ある方から譲られた本の、1冊である。
「茨木のり子全詩集」(2010年、花神社)が出ており、ほしいと思った時期もあった。
しかし買わないのは、生前の批評を含めた選集「言の葉」3巻(筑摩書房、2002年・刊)を、既に買って読んでいる事がおもな理由である。
この「倚りかからず」は、さっぱりした15編(内容は深い)を収めて良い。
表題作の「倚りかからず」は、「もはや/できあいの思想には倚りかかりたくない/…もはや/いかなる権威にも倚りかかりたくはない/…倚りかかるとすれば/それは/椅子の背もたれだけ」となっていて、戦後思想(彼女の場合、戦中を含むかも知れない)の移り変わりと凋落を、嘲笑している。
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