有田幸代「そらぐつ」
先の7月4日の記事(←リンクしてある)で、贈られた事を報せた、有田幸代さんの第3詩集、「そらぐつ」を読みおえる。
2015年8月、紫陽社・刊。
3章に40編の詩を収める。
第Ⅰ章は、晩年の母親、看取り、葬儀などを描いている。「はい あどけない返事」をするようになった老母の作品「はい」が哀切である。
第Ⅱ部は、先に逝いた者たちの回想や、日常での気配を描く。
第Ⅲ部は、個人的な思いを述べているようだ。
彼女は温厚で、実務的な実行力のある方、という印象だ。
個人詩誌「野ゆき」を、ほぼ年1回のペースで発行している。
父親の死を描いた「釣り」全5連より、初連と第4連を引く。
釣り
有田幸代
長いわだかまりがとけて
父の好きな釣りに行く約束をした
その日の直前の父の死
(中略)
突然逝くとしても
楽しい約束が胸にあるのは
わるくない
かすかに灯りがともる
(後略)
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