村野四郎「珊瑚の鞭」
筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、第4詩集「珊瑚の鞭」を読みおえる。各詩集は逆編年順に収められているので、僕は全詩集の後方から読んでいる。
このブログでは、今年7月7日の記事(←リンクしてある)、「抒情飛行 拾遺」以来である。
詩集は1944年(昭和19年)、湯川弘文社・刊。
詩「丘の上」では、「じっと見つめてごらん/深い日本晴の空の中を/この古い国の古い丘の上から」と書いて、どの国の空も深いこと、多くの国が古くかつ古いだけで国の優越とはならないことを、故意に見逃している。
また「前線への手紙」では、「おまえはもはや人ではない/民族の一つの突端/新しい秩序をのために/新しい歴史をひらく/鋭い鉄の刃先だ」と書いて、戦争理念の虚妄と戦争の非人間性を賛美した。
僕は詩人の戦中の作品を、後世からから取り上げて、批判するだけではない。ある意図があり、それを展開できたら、と思う。
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