« 隠れハルキスト(2) | メイン | 「月集スバル」「月集シリウス」読了 »

2015年9月 5日 (土)

近藤芳美「樹々のしぐれ」

 岩波書店「近藤芳美集」第3巻(2000年・刊)より、第12歌集「樹々のしぐれ」を紹介する。

 7月21日の記事(←リンクしてある)、同「アカンサス月光」に継ぐ。

 原著は、1981年、蒼土舎・刊。679首。

 2度にわたり、ギリシア他の国を巡り、海外詠も多い。

 彼の歌に、詰屈な印象がある。助詞の省略が多く、かつ字余りも多い。推敲を重ねたと読んだ事があるので、乱作ではない。政治、外国を詠もうとするからか。

 以下に7首を引く。

暗緑の柱列の下石冷えてひびきは沈む歩むしばしを

窓ごとに烏賊干す白き壁の路地人はみなやさしき声かけて過ぐ

島の崖の道を伝うは騾馬の列沖に没り陽のはやひかりなく

外人ら荷に寄るロビーの佇みに遠く空染むる空港の灯は

風避けてモンマルトルにあるしばし記憶の坂もなべて冬曝(さ)れて

怒りとして言うべき今日を友らなき八月六日朝のかぎろい

生きて還りし病兵吾を置きて征(ゆ)く一夜の舟艇の音か聞こえて

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、ブドウの1枚。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/33561779

近藤芳美「樹々のしぐれ」を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート