安住敦「古暦」
角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)の第10巻(1972年・刊)より、初めの句集、安住敦「古暦」を読みおえる。
僕はこの大系を、増補版15冊揃いで買ったが、この第10巻のみ増補版ではなかった。写真は、函の表である。
この大系としては、今年2月20日の記事(←リンクしてある)、小林康治「四季貧窮」に継ぐ。間が空いたのは、「上村占魚全句集」の各句集を紹介したり等のためである。
原著は、1954年、春燈社・刊。
久保田万太郎の序句、135句、木下夕爾の跋文を収める。
前巻の末からこの巻のあたり、社会性俳句の盛んな時期だったようだ。
安住敦(あずみ・あつし、1907年~1988年)は、俳誌を次々と移ったが、敗戦当時に失職し職を転々とした。「古暦」はすでに第3句集である。
短歌を学んだ初期もあり、人生を感じさせる、叙情味のある句が多い。
以下に5句を引く。
雁鳴くやひとつ机に兄いもと冬ざくらしづかにいまは兵ならず
また職をさがさねばならず鳥ぐもり
春蘭の風をいとひてひらきけり
妻がゐて子がゐて孤独いわし雲
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