小林康治「四季貧窮」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、13番め、最後の句集、小林康治「四季貧窮」を読みおえる。
2月11日の記事(←リンクしてある)で紹介した、榎本冬一郎「鋳像」に継ぐ。
原著は、1953年、一橋書房・刊。
妻への献辞、石田波郷の序文、301句、石塚友二の跋文、後記を収める。
小林康治(こばやし・こうじ、1912年~1992年)は、従軍、病気・帰還、戦災・敗戦により一切を失った。
やや貧を衒っているようにも見えるが、戦後庶民の誰もが経験した事とされる。
以下に5句を引く。
ふりかむる大槻芽立つ月夜かな
野の城や日あたりながら草枯れぬ
旅の果葎をしぼる秋の風
父の棺に跿きゆく冬田恥多し
氷柱なめて生涯の貧まぬがれず
フリー素材サイト「Pixabay」より、白梅の1枚。
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