森澄雄「雪檪」
角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、3番めの句集、森澄雄「雪檪」を読みおえる。
今月3日の記事(←リンクしてある)、清水基吉「寒蕭々」に継ぐ。
原著は、1954年、書肆ユリイカ・刊。
自序句、417句、「あとがき」を収める。
森澄雄(もり・すみお、1919年~2010年)は、加藤楸邨「寒雷」創刊(1940年)に参加、後に俳誌「杉」を創刊・主宰。
彼は敗戦・復員後、教師となり、上京後も職を続けた。しかし板間の6畳1間に親子5人が住む貧しさだった。先に紹介した安住敦「古暦」、清水基吉「寒蕭々」、ともに貧を吟じており、戦後の庶民の貧窮を示しているのか。
以下に5句を引く。
暮光やゝ寒ゆるみたる松の幹
枇杷の実に日の照りかげり風の中
うすら雪妊妻はすぐ寝落つ
パンの飢水雪が笹濡らしをり
梅雨の三人子桜桃のごと睡て息す
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