若山牧水「別離」
Kindle版「若山牧水大全」より、第3歌集「別離」を読みおえる。
先の9月7日の記事(←リンクしてある)、「独り歌へる」に継ぐ。
原著は、1910年、東雲堂・刊。
「別離」は、「海の声」と「独り歌へる」を合わせ、155首を削り、133首加え、配列などを変えた。1004首。
東雲堂の雑誌「創作」(のちに牧水らの歌誌となる)の編集を任され、歌集の造りも立派で、内容には牧水に自信のあったもので、歌集は非常な評判を呼んだ。
僕はタブレットで、読み通した。
以下に7首を引く。
吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ
山行けば青の木草に日は照れり何に悲しむわがこころぞも
みじろがでわが手にねむれあめつちはなにごともなし何のことなし
いざ行かむ行きてまだ見ぬ山を見むこのさびしさに君は耐ふるや
あれ見たまへこのもかのもの物かげをしのびしのびに秋かぜのゆく
花つみに行くがごとくにいでゆきてやがて涙にぬれてかへり来ぬ
きはみなき生命のなかのしばらくのこのさびしさを感謝しまつる
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