村野四郎「蒼白な紀行」
筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、第10詩集「蒼白な紀行」を読みおえる。
先の10月27日の記事(←リンクしてある)、「亡羊記・拾遺」に継ぐ。
原著は、1963年、思潮社・刊。
これまでのアクが薄くなった印象である。
「城」の終末では、「遠い空間にかたむく/孤独の城/そこでは永劫に/悲劇の腐敗することがなかった」とうたって、戦争の悲劇がなまなましく残っている事を表わすようだ。
「冬の河」最終連は「ときどき底ふかく/小さい魚の影たちが/すばやく流れをさかのぼる河」と書き終えて、若者たちに期待するかのようだ。
この全詩集も、あと「『蒼白な紀行』以後」を残すのみである。
フリー素材サイト「Pixabay」より、林檎の1枚。
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