藤岡成子「雨はときどきやさしくあらず」
藤岡成子(ふじおか・しげこ)さんの第3歌集、「雨はときどきやさしくあらず」を読みおえる。
購入は今月22日の記事(←リンクしてある)にアップした。
2015年8月、本阿弥書店・刊。
藤岡成子さん(筑紫歌壇賞・受賞、「コスモス」会員、他)の夫は、かつて市長であり、現職で倒れて亡くなったという。
市長夫人として、その後を含めて、人間関係で得た弱みを見せない強さがあるだろう。
また3人の子供を育て、9人のお孫さんに恵まれた事も、自信となっているだろう。
亡夫恋の歌と共に、ユーモアに満ちた歌もあり、人柄の大きさを思わせる。
以下に7首を引く。
この猫は城の〈ゐさうらふ〉弁当の卸零れ食べて昼寝してをり
一日ごとつりがねさうは萎えゆきていたし方なく無惨をさらす
侘しいと猫の目を見て呟けばミンナヤデーとすり寄つて来る
東日本大震災をピカソなら如何にゑがくや〈ゲルニカ〉見つむ
ちはやぶる出雲の神に寡婦なれどお礼言ひたり「しあわせでした」
新妻が七十になるその過程つぶさに知りぬ三面鏡は
おばあちやんの定位置なりし縁側に坐れば見ゆる朴の白花
コメント