梅崎春生「桜島」「崖」「日の果て」
このブログで書いた通り、「三島由紀夫全集」(36巻版)の第1巻を、途中を飛ばしながらも読みおえ、第2巻に入ったが、初めの「盗賊」で躓いた。戦前の華族青年男女の、くだくだしい恋愛心理の描写に惹かれなかったからだ。
これはいけない、三島由紀夫全集はさて措いて、別の小説を読もうと思って、「梅崎春生全集」(全8冊)の第1巻を出して来た。
「桜島」「崖」「日の果て」を読みおえる。
戦前の習作(?)は別として、彼は「桜島」によって文壇に登場した。1945年7月初めから敗戦まで、桜島で通信兵として従軍した「私」の視線で軍隊が描かれる。戦闘場面はないが、後からの修飾も加えて、軍隊の非人間性が描かれる。
「崖」「日の果て」と進むに従って、シチュエーションは深刻になるが、フィクションも強くなって、衝迫性を描くのに、作者は苦労しているようだ。
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