笠松俊子「花あかり」
12月13日(第2日曜日)の「コスモス短歌会」F支部・月例歌会のおり、支部会員の笠松俊子さんより、歌集「花あかり」を頂いた。
2015年11月、弘報印刷(株)出版センター・刊。漆崎支部長・序。
1977年以来、結社誌「コスモス」とF県短歌人連盟・年刊「自選歌集」に掲載の、40年近い歌より選んで、歌集を成した。
早逝の夫、父母、舅・姑、知友、更に弟まで見送る歌がある。
1方で、娘の結婚や、孫・曾孫の誕生の喜びも詠まれる。
国内の旅、娘の1人が住むドイツへ3度も渡って、優れた短歌を得ている。
鮮やかな描写は、南画にも励まれている所から来るのだろうか。
笠松さんは、情熱を内に秘めた、温厚な方で、支部内で好感を持たれている。
以下に7首を引く。
闇市に吾が食む小魚買ひくれし舅しのばるる娘の身籠れば
小島師が愛でましし曲「平城山(ならやま)」をテレビに聞けば泪あふれ来
楽になる注射願ふと夫言ひて永久の眠りに入りてゆきたり
腰伸ばせ目線高くと言はれつつドイツの秋日の街を娘とゆく
酒好きの舅が遺しし古九谷の盃を褒めつつ娘の婿ら酌む
昏睡ゆおぼおぼと覚むる弟か声にはならぬ口を動かす
抱きたる赤子の曾孫に見つめらる「あなたは誰」と瞳に問ひて
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