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2015年12月24日 (木)

近藤芳美「風のとよみ」

 岩波書店「近藤芳美集」第4巻(2000年・刊)のしまいの、第17歌集「風のとよみ」を読みおえる。

 今月8日の記事(←リンクしてある)、「営為」に継ぐ。

 原著は、1992年、砂子屋書房・刊。455首。

 中国、スペイイン、国内の旅の内の、昭和天皇の崩御に感慨があり、天安門事件を怖れ、東欧のビロード革命に自問する。

 彼の詠いぶりが移りゆこうと、彼は狡猾ではなく、誠実であろうとした。

 以下に7首を引く。

長き長き日を経るごとく過ぎゆくを一国の喪の冬の曇り垂る

猛だけと芽立ちまぎれぬ街路樹の闌(た)くる昼ながら紹興にあり

(いた)みとして知る中国というといえ電波に少女の叫び切れぎれ

菊に埋もるる黒布の柩小さきを君と思わむ呼びて別れ告ぐ

歓喜して「ベルリンの壁」今か越ゆる市民らの数何が推移す

見詰め合ういのちの果ての怖れなどいわざれば日は静けさに似む

ゆくりなき旅すがらなる町なりきゲルニカの過去を問う何もなく

Angel569230_640フリー素材サイト「Pixabay」より、クリスマス関連の1枚。

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