平畑静塔「月下の俘虜」
角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、8番めの句集、平畑静塔「月下の俘虜」を読みおえる。
この前の赤城さかえ「浅蜊の唄」は、昨年12月22日の記事(←リンクしてある)にアップした。
原著は、1955年、酩酊社・刊。647句。
平畑静塔(ひらはた・せいとう、1905年~1997年)は、精神科医として病院に勤め、1951年にカトリックに入信するが、その後離れる(三省堂「現代俳句大事典」2005年・刊、他に拠る)。
「月下の俘虜」には、京大俳句を含む「初期」90句、俘虜・復員・帰還の「終戦以後」54句と少なく、「天狼時代」503句が多くを占める。
以下に5句を引く。
ホテル裏花の墓場が昏れてゆく
一身の芋八貫と汗ともどる
無花果を食ふ天刑の名をうけて
宛てがはれ住みつく棟の雀の巣
春月に妻一生の盥置く
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