梅崎春生「赤い駱駝」「生活」「ルネタの市民兵」
沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、3回めの紹介をする。
2回めの紹介は、先の1月8日の記事(←リンクしてある)にアップした。
今回は、「赤い駱駝」「生活」「ルネタの市民兵」の、3作品を読み終える。
「赤い駱駝」は、「二見」という「全然軍人に適さない男」(召集前は童話を書いていた)が、終戦直後に発狂して自殺するストーリーである。
次の「生活」に出て来る老兵たち(40代)が、軍隊で真実の自分を守るため、佯狂、馬鹿、耳が聞こえない、等の擬態を採ったのに、それが出来なかった。
戦闘に参加する事がなかった小さな関わりに、戦争、敗戦の意味を問い詰めて自死に至ったのだろう。
誰にともなく物語る口調で、文体に工夫がある。
「ルネタの市民兵」は、比喩を重ねるなど重厚な描写で、捨石の1市民兵が、逼塞・逃亡から投降に至る過程を描いている。
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