若山牧水「黒松」
Kindle本「若山牧水大全」より、遺歌集「黒松」をタブレットで読みおえる。
前作の第14歌集「山桜の歌」は、先の4月5日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
歌集「黒松」は、牧水の没後10年(昭和13年、1938年)に、改造社より出版された。ただしその前に全集に、夫人と高弟・大悟法利雄とが1千首をまとめて、収めていたらしく夫人の歌集後書からは推察される。
1923年~1928年の作品で、自宅建設、詩歌誌発行等のため、全国、海外まで揮毫旅行を繰り返し、健康を害して1928年、数え年44歳で没した。
最後の歌集であり、紙本の「全歌集」には多くの補遺があるが、僕は「大全」の随筆をタブレットで読んで行こうと思う。
以下に7首を引く。
散りやすきこころとなりて昼はいね夜半を僅かに起きてもの書く
入りゆかむ千曲の川のみなかみの峰仰ぎみればはるけかりけり
明日去ぬる港とおもふ長崎の春の夜ふけに逢へる人々
うち群れて釣れるは何の来しならむ冬めづらしき今朝の釣舟
濡縁の狭きに立ちてをろがむよわが四十三のけふの初日を
松が枝に鴉とまりつおもおもと枝のさき揺れて枯葉散りたり
酒ほしさまぎらはすとて庭に出でつ庭草を抜くこの庭草を
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