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2016年8月13日 (土)

竹山広「地の世」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第10歌集「地の世」を読みおえる。

 第9歌集「眠つてよいか」は、今月6日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「地の世」は、2010年、角川書店・刊。304首。

 「地の世」は、2010年に90歳で亡くなった竹山広の遺歌集である。

 前年、「現代短歌大賞」を受賞している。

 「十字架上のおんくるしみの末端に加へたまへと祈りたり今日は」の1首があるごとく、善悪の意味で、敬虔なクリスチャンだった。歌にはあまり詠まなかったけれども。

 このあと全歌集には、すべての歌集の解題、略年譜、初句索引、全歌集*目次細目、等を収めている。

 以下に7首を引く。

臍を見て妻が戻しし南瓜はどなたの腹にをさまりたらん

介護3に格上げされて横たはる未明を走り去るオートバイ

のぼるかと見えし園児ら陸橋の下に並びて別れゆきたり

床上に飯を食はむと起きて座ることにさへわが妻にすがるを

図書館に並べられゐむわが本よ誇らしき顔を見せつつ並べ(注・蔵書一切を譲って)

妻としてありしこの世の歳月のくるしかりにしこころを語れ

歌人としてここまで至りえしことをわが生涯のよろこびとせよ

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

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