加藤楸邨「山脈」
角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、16番めの句集、加藤楸邨「山脈」を読みおえる。
先行する、栗山純夫「科野路」は、この8月2日の記事(←リンクしてある)にアップした。
「山脈(さんみゃく)」は、1955年、書肆ユリイカ・刊。487句。
加藤楸邨(かとう・しゅうそん、1905年~1993年)の第9句集、戦後・第3句集になる。
敗戦後の戦争責任・追及が過ぎ、肋膜炎が回復期に入り、著者あとがきで「私はもう一度振出しに戻って歩き始めてゐる感じだ。」と述べている。
以下に5句を引く。
水のむと片目つぶれば十三夜
黄金虫灯に酔ひ兜虫は攀づ
鉛筆で指さす露の山脈を
春嶺の脈うつを蹴り起きあがる
黴干すや売りしか焼きしか書乏し
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