桜井千恵子歌集「風語(かぜのことば)」
先日、「コスモス」「棧橋」の歌人、桜井千恵子さんが第2歌集「風語(かぜのことば)」(2008年、柊書房・刊)を送ってくださった。彼女は宮城県在住。
彼女はその名のごとく恵まれた人のようで、海外旅行詠、国内の旅行詠、美術館等を訪れての作も多い。また娘さんの結婚、初孫の誕生と喜びを詠っている。
「2007年」の章は、夫君が60歳で急逝された、挽歌が埋めている。仲の好いご夫婦だったことは、作品や「あとがき」で知られるが、それだけいっそう亡き夫君への想いは哀切である。
しかし短歌の功徳によって、彼女の生活と心が立ち直っていくであろうことは、次に引く掉尾の1首によっても知られる。
風上に生れてひしめく風の語やわがふたひらの耳立てて待つ
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