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2008年8月13日 (水)

石川啄木「一握の砂・悲しき玩具」

003  石川啄木歌集「一握の砂・悲しき玩具」(新潮文庫、平成9年・刊)を読みおえる。写真の表紙は、おなじみだろう。

 僕はこの本で、啄木の短歌をよく読みかえす。8冊本の全集を読み通した事もあるが、彼の良さをひと通り知るには、この文庫本で充分である。

 啄木の短歌は、僕の短歌の原点、と言うより、僕の文学の原点である。

 「一握の砂」の「忘れがたき人人」(二)より引く。

さりげなく言ひし言葉は

さりげなく君も聴きつらむ

それだけのこと

 「それだけのこと」とは反語であって、彼は万感の思いをこめて、さりげなく告げたのである。

 「悲しき玩具」より、巻末の1首を引く。

庭のそとを白き犬ゆけり。

  ふりむきて、

  犬を飼はむと妻にはかれる。

 貧窮の中で彼もまた、小市民的生活に憧れたのだな、と感銘深いものがある。

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