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2008年9月11日 (木)

「鮎川信夫全集 Ⅰ 全詩集」

002  「鮎川信夫全集 Ⅰ 全詩集」(1989年、思潮社・刊)を読みおえる。詩集未収録詩篇、翻訳詩を含め、687ページの大冊である。

 彼の述作の中心である、生涯の詩を数十言で述べることは出来ないが、スケッチを描いてみたい。

 戦前はモダニズム詩人であった彼が、従軍と敗戦を経て、戦死者の「遺言執行人」として現れ、その志はのちの生涯を貫いた。

 海外ミステリー小説の翻訳などで生計を立てながら、二重生活者として、詩や評論を発表し続けた。

 1つ気づいた事がある。彼の詩に登場する他者は、1篇にたいてい一人(亡き友人、妻、娘、恋人)である。中期以降の田村隆一の詩に、多くの個人が現れるのと、対照的である。もちろん、双方に例外はある。

 彼の詩集篇の、最後の詩は「風景論」という。第4連の4行を引用する。

遠ざかる列車のひびきに

家族あわせの円居が

窓の灯をにじませる夜には

いつもかわらぬ休息がありますように

        鮎川信夫「風景論」より

 

 

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