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2008年11月 8日 (土)

文学誌「青磁」第25号

004  僕とこぐま星座さんとの二人詩誌「群青」第13号を送った返礼に、定道明さんと張籠二三枝(はりこ・ふみえ)さんが、同じ文学誌「青磁」第25号をそれぞれ送ってくださった。

 「青磁」は、福井県内の書き手による文学同人誌で、おもに小説と作家論を載せている。

 僕は今回、定さんの「橘曙覧記念文学館 建設時の思い出」「『春さきの風』考」と、張籠さんの「われも忘れじ」のみを読んだ。

 定さんの「橘曙覧記念文学館 建設時の思い出」は、アメリカのクリントン大統領のスピーチにおける引用から、橘曙覧フィーバーが起こり、地元の関係者が記念文学館建設へ一気に動いた、当時の熱気が伝わる回想記である。

 「『春さきの風』考」は、中野重治の短編小説「春さきの風」の当時の評価や、モデルの家族の生涯を、周囲の人の文章や実地調査によって、押さえどころを効かして描いた、丁寧な評論である。

 張籠さん(高校文芸部の1年か2年の後輩)の「われも忘れじ」は、同窓会を描いた小説で、特別な事件は起こらない。ただ、うしろめたさのような翳りがあり、それは現在の生活が幸せなところから来ているのかも知れない

 この小説を含めて、彼女の小説にはしばしば高校文芸部時代のエピソードが描かれ、当時の前衛詩熱に付いて行けなかったコンプレックスが尾を引いているようだ。当事者の一人として僕は、彼女に済まない気持ちになる。

 もっとも彼女は、「青磁」「日本海作家」などに次々と小説の力作を発表しているので、それはそれでよいのだが。

 

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コメント

こぐま星座さんへ。
こんど会うときに1冊差し上げます。

「青磁」って最近うまく行ってないってどこかから聞いたけどまだでてるんだねぇ(笑)

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