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2009年2月 7日 (土)

俵万智「恋する伊勢物語」再読

002  俵万智「恋する伊勢物語」を再読する。

 ちくま文庫、2005年7刷。

 昔に1度読んだ原文も、数年前に読んだ「恋する伊勢物語」も、内容はよく覚えていなかった。

 俵万智の、おっとりした解釈は、好感がもてて、的を外してはいないようだ。

 「無欲の勝利」と題して紹介されている第123段の話に惹かれる。情熱の冷めかけた男が、女に歌を詠んで贈る。

年を経て住みこし里を出でていなばいとど深草野とやなりなむ

 女からの返歌は次のようだった。

野とならば鶉となりてなきをらむ狩にだにやは君は来ざらむ

 俵万智も「痛々しいほどのけなげさ」とは評するが、「技術論で分析してみよう」と恋の駆け引きに論じ入って、情緒に深入りしない点が、残念である。

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