村松和夫・歌集「畑つ守」
東京都・在住の歌人・村松和夫さんの第5歌集「畑つ守」を読みおえる。
2004年、六法出版社・刊。
歌集名の「畑つ守」は、木のリョウブ(令法)の別名であるという。
著者は「アララギ」を経て、「未来」創刊参加、現在短歌集団「未踏」主宰。
著作に、合同歌集を除き5冊の歌集と、9冊の短歌評論集がある。
歌風は、「アララギ」の筋を引いて、堅実な作品が多いようだ。
以下に、7首を引く。
流れみれば流れの中のいろくずをみれば沁みたるひと日が終る
吹雪く音聞きていたりき取り返しつかぬ思いもすでにありにき
出でて来し吾が前にEveの像ありて余光の中に立ちていたりき
ゆくりなく入り来し園に白き花ひとつばたごの花過ぎんとす
Paradise追われんとして傾ける像ありしかば吾立ちどまる
鍔広き夏の帽子も失せにけり何時までもわれの戦後がつづく
午後行きて話さんとする種ぐさに網代木のこと澪標のこと
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