堀江敏幸「おぱらばん」
新潮文庫、平成21年・刊。
僕は新潮文庫で、彼の「いつか王子駅で」「雪沼とその周辺」を読んでいる。
「おぱらばん」は単行本としては、それらより先に発行されている。
これらの短篇小説において、文学や美術の衒学趣味と、理性的ではない情動に入る主情主義は、元インテリ(予備軍)の心情を、くすぐるものがある。
表題作の「おぱらばん」は、アイテムが卓球とか辞典だったりして、僕にもわかりやすく、いや味が少なかった。
彼が、三島由紀夫賞、芥川賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞、木山捷平賞、読売文学賞と、名立たる賞を受賞しているのに、読者の評価が今ひとつなのは、読者に媚びている所があると見られているからだろうか。
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