「鮎川信夫全集」第Ⅴ巻「時評Ⅰ」を読みおえる。
思潮社、1994年・刊。
箱、帯、箱と本体にパラフィン紙カバー。
時評とはいえ、評論を597ページも読むのは実際しんどかった。
月報に詩人の吉田文憲が「常識(コモン・センス)の過激さ」と題して書いているけれども、時評発表当時は、左翼・進歩派ばかりの知識人のなかで、鮎川信夫の論は「非常識な過激さ」の文であったのだ。
彼は、60年反安保闘争のとき、日本でただ一人、闘争に批判的な知識人であった。
日本も世界も保守化している1985年だから(「現代詩手帖」より転載)、吉田文憲は「常識」などと書けるのである。
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