森鷗外「舞姫・うたかたの記 他三篇」を、読みおえる。
岩波文庫、1998年34刷。
ここに収められた5編のうち、「舞姫」「うたかたの記」「文づかひ」3編がドイツ留学に想を得た小説、「そめちがへ」は初期から中期への移行期の小説、「ふた夜」がドイツ作家ハックレンデルの小説の翻訳である。
「舞姫」の留学生の倫理性が問題視されるけれども、この小説にもフィクションは多いだろう。たとえ狂気した恋人、二人のあいだの子供のそれからの生活と、帰朝後の鷗外の業績を比べようとしても、致し方のない事だろう。
ハックレンデルの「ふた夜」には、さすがにヨーロッパの小説は進んでいて、表現も展開も見事だと、感嘆した。
コメント