藤岡成子「白鳥よ」
兵庫県・在住の歌人・藤岡成子さん(「コスモス」「棧橋」所属)が、第2歌集「白鳥よ」を送って下さった。
2009年9月発行、本阿弥書店・刊。
長く市長を務めたご夫君を亡くされた孤独のなか、親しかった兄や姑を亡くされ、苦しみのなかで短歌を詠み続けて、第1歌集「真如の月」が第2回「筑紫歌壇賞」を受け、また「コスモス」内の「O先生賞」も受けた。
時にひょうきんな詠みぶりの歌もある。
人柄の大きさを思わせて、歌柄も大きい。
また自然な比喩の歌も多く、羨ましい。
以下に、付箋を貼った7首を引く。
冬眠より覚めし蛙のぼそぼそのその顔寝起きの夫に似てをり
ぼろぼろのわたしの影がわたくしを引つぱり昼の階段のぼる
炭坑節「サノヨイヨイ」とはやす姑何と不思議な百三の声
「おかあさん」と四十一年したしみし姑の柩に庭の花置く
さびしい日はモーツァルトを聞きながら徹底的に君を思はう
わたしの子はキャベツが好きで春菊は嫌ひなのよと紋白蝶いふ
気負ひゐしころの私を見るやうな深く辞儀する候補者婦人
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