深沢七郎「楢山節考」
新潮文庫、昭和47年13刷。
この本には、「月のアペニン山」「楢山節考」「東京のプリンスたち」「白鳥の死」の4篇が収められている。
「月のアペニン山」では、「私」と「静江」が近くまで新婚夫婦だったのに、愛情の無さが気にかかる。作者の夫婦観だろうか。
「楢山節考」は、若い時に読んだ覚えがある。ある日本文学全集の、「昭和名作集」に入っていた。歌詞と楽譜入りの小説には驚いた。奇蹟的に生まれた、短編小説の名作である。
「東京のプリンスたち」は、都会の不良がかった高校生たちの生態を、当時(1959年)としては、鮮やかに描いた。
「白鳥の死」は、師事した正宗白鳥の、死の前後を詩的に、しかし説得力を持って描いた。
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