古井由吉の小説集「杳子・妻隠」を読みおえる。
新潮文庫、平成6年14刷。
僕はこれまで彼の小説では、「男たちの円居」、「円陣を組む女たち」、「雪の下の蟹」など(?)を、文庫本で読んできた。
他に、未読の文庫本を何冊か持っている。彼の作品集の端本も、2冊ある。
「杳子(ようこ)」は、ノイローゼとされている(不安神経症?)大学生・杳子と、これも大学生のSさんと呼ばれる「彼」の恋愛物語である。
ここには、ロマンチシズムも修羅場もない。惹かれあう二人が、明るみの見える出口に至る物語である。
「妻隠(つまごみ)」は、平凡な若夫婦の深淵が、周囲のリアルな人物たちの中で描かれる。
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