« DVD「マヤ文明・インカ文明」 | メイン | 同人詩誌「青魚」№72 »

2010年5月17日 (月)

吉田美奈子「草深野」

004  愛知県に在住の歌人・吉田美奈子さん(「コスモス」「棧橋」所属)が、第2歌集「草深野」を送って下さった。

 2010年5月、柊書房・刊。

 高野公彦氏の選による、406首を収める。

 介護施設でのケアマネージャーとしての責任重い仕事、ご夫君の単身赴任だけでも、重い事柄である。

 さらに自身の乳癌手術と闘病生活、仕事への復帰がある。

 そしてご父君の逝去、ご義父君の入院という、自身の加齢によって避けがたい事態が起きる。

 それらの真実を、あるいは露わに、あるいは芸術性高く、詠いあげている。

 以下に8首を引く。

ストーブに膝の木屑を焼(く)べながら木地師ゆつくり樹の質(たち)語る

梅雨ふかき午後の病室かみあはぬまま老いどちの会話はてなし

尾羽の形(なり)まるきが鷹と指せるひと来世にもまたわれを娶れよ

窓近く富士山見えて物言ひのやさしくなりぬ赴任地の夫

点滴に百日(ももか)をしのぎきたる人今ましづかにまなこを閉ぢぬ

全きは今日かぎりにて素裸を夫に撮らせつ手術の前夜

拾ひゆく白骨太し兵の日を一生言ふなく終りたる父

病室に桜活くれば失語症の人の口ふと動きぬ サ・ク・ラ

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/24169064

吉田美奈子「草深野」を参照しているブログ:

コメント

ヨシダミナコ様、コメントを下さり、ありがとうございます。
拙速の感想ですみません。
これからも、このブログを覗いて下されば、ありがたいです。

こんばんは。
今日お葉書いただきました。
ありがとうございました。
早速「サスケの本棚」へお邪魔しました。
ご紹介いただいてとてもうれしかったです。
これからもゆっくりお邪魔させていただきたいと思います。
取り急ぎ。

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート