吉田美奈子「草深野」
愛知県に在住の歌人・吉田美奈子さん(「コスモス」「棧橋」所属)が、第2歌集「草深野」を送って下さった。
2010年5月、柊書房・刊。
高野公彦氏の選による、406首を収める。
介護施設でのケアマネージャーとしての責任重い仕事、ご夫君の単身赴任だけでも、重い事柄である。
さらに自身の乳癌手術と闘病生活、仕事への復帰がある。
そしてご父君の逝去、ご義父君の入院という、自身の加齢によって避けがたい事態が起きる。
それらの真実を、あるいは露わに、あるいは芸術性高く、詠いあげている。
以下に8首を引く。
ストーブに膝の木屑を焼(く)べながら木地師ゆつくり樹の質(たち)語る
梅雨ふかき午後の病室かみあはぬまま老いどちの会話はてなし
尾羽の形(なり)まるきが鷹と指せるひと来世にもまたわれを娶れよ
窓近く富士山見えて物言ひのやさしくなりぬ赴任地の夫
点滴に百日(ももか)をしのぎきたる人今ましづかにまなこを閉ぢぬ
全きは今日かぎりにて素裸を夫に撮らせつ手術の前夜
拾ひゆく白骨太し兵の日を一生言ふなく終りたる父
病室に桜活くれば失語症の人の口ふと動きぬ サ・ク・ラ
ヨシダミナコ様、コメントを下さり、ありがとうございます。
拙速の感想ですみません。
これからも、このブログを覗いて下されば、ありがたいです。
投稿: 新サスケ | 2010年5月19日 (水) 20:37
こんばんは。
今日お葉書いただきました。
ありがとうございました。
早速「サスケの本棚」へお邪魔しました。
ご紹介いただいてとてもうれしかったです。
これからもゆっくりお邪魔させていただきたいと思います。
取り急ぎ。
投稿: ヨシダミナコ | 2010年5月19日 (水) 19:20